『太陽の末裔』は、異国の地に派遣された軍人と女医が極限状況の中で使命を果たしながら愛を育んでいくヒューマンラブストーリー。「軍人」「女医」「極限状況」と聞いたとき、ヒューマンな感動こそありはすれ、このドラマにこんなに萌えキュンさせられ、さらにはこんなにも笑わせられると誰が思っただろうか?

 最大のキュンポイントはソン・ジュンギ演じる軍人ユ・シジンのファンタジーのように完璧な魅力に他ならない。どんな危険からも助けてくれる男らしさが頼もしく、外柔内剛で、心優しく、守るべきものを守り、厳しい状況下でもユーモアで和らげながらやるべきことをやる。彼に心奪われない女はいないのでは?くらいのいい男だ。そんな彼と、さばさばしたちょっと俗物のキャリア女子であるソン・ヘギョ扮するカン・モヨンのカップリングが面白く、かつ素敵で、二人が繰り広げるシーンの数々にニンマリさせられる。

 初対面でユ・シジンのことを疑って警察に通報しようとしたカン・モヨンの携帯を手ではじいて落ちる直前にサッと受け取ってみせるユ・シジンにびっくりするモヨン。そんななんてことないソン・ジュンギの仕草でキュン。

 また、「医者って忙しいから、彼氏はいない?」「軍人ってキツいから、彼女はいない?」というウィットに富んだ粋なセリフのやり取りでも胸キュン。

 思いがけなく異国の地で再会してもすぐには嬉しさを表さず、ユ・シジンが彼女の背後に立って国旗に敬礼しながら「また会えてうれしいです」とサラリと言う場面も、もうキューンだった。

 さすが、ラブストーリーの名手、キム・ウンスク脚本家だけに、何気ないところでもキュンキュン来るように作り上げる手腕がすごい!

 セリフの魅力だけではない。ユ・シジンがヘリコプターに乗ってモヨンの前から去っていったり、派遣された異国の地でユ・シジンが軍用機から降りてきてモヨンの舞い上がったスカーフをつかんで無言で手渡して再会を果たしたりと、ヘリが巻き起こす風とともにトキメキが高まるのだ。こんな感じで随所にドラマチックな演出が施されている。

 で、このドラマが最強なのは、こういう胸キュンカップルがもうひと組出て来るところだ。こちらは自分の思いを押し殺して恋をあきらめようとしているストイック男子とそんな彼を必死でつなぎとめようとしている軍医の女性。彼女の方が男よりも上官で、おまけにお偉い軍人の彼女の父親が反対しているから身を引こうとしているというやせ我慢愛。このなかなか先に進めないカップルも切なくて、ドラマを大いに盛り上げていく。

 そして軍人同士の戦友愛、ブロマンスも加わって、縦横無尽に見どころが張り巡らされているのだ。

 ドラマのトーンも、萌えキュンの次には緊迫感があって、かと思うと爆笑もあって、爆笑の中にもキュンがあって、とバランスよく交互に出てくるという作りも巧みでダレルところがないのも素晴らしい。

 またドラマが伝える真摯なメッセージがいい。派遣された土地で大地震が起こった時も、再会したユ・シジンとカン・モヨンは、お互いのことがすごく心配なのに「無事を祈ってた。そばにいられないので気をつけて」「大尉も」と言葉を交わしただけでそれぞれの役目を果たしに別れていく。ここも名場面!

 昔の韓国ドラマは仕事より愛を優先していたけど(笑)、このドラマでは、それぞれが自分の仕事にプライドを持ち、使命に忠実に、人種、国境、考えの違いを超えて、軍人として医師として平和を守るために必死で働いていく。その尊い姿が感動を呼ぶのだ!

 大いにトキメいて感動が味わえるのだから、なんて有意義なドラマなんだろうと思える作品なのである。

韓流ナビゲーター 田代親世